<2>に続いて、今回も受け売りです。すいません。
2年半ほど前に、「ほるぷ」の方に絵本の読み聞かせ方について、お話しをうかがう機会がありました。
そのときに強調されていたのが、「作者名」を読むということでした。
「なるほど」と思って、その後、ずっと実践しています。
具体的にいいますと、表紙や中表紙に、作者名、画家名、訳者名、原作者名、出版社名、その他(出典など)などが書かれていますが、その全てを、読み聞かせのときに、子どもに読んであげるということなんです。
実践してみてわかりますが、これ、とってもいいことなんですよ。
子どもにも、そして、大人にも、本を選ぶ力がついてきます。
「さるるるる」(五味太郎)を読んだことがある子が、「たべたの だあれ」(五味太郎 さく)を読んだときに、「あれ?五味太郎さんって、さるるるるって本の人じゃないかな?」って思うんです。そうすると、今度、「うみはひろいね おじいちゃん」(五味太郎 作・画)を読んだときに、「あっ、またごみたろうさんだ!」って気づくんですね。そして、「この人の本、いつも面白い!」っていう認識に繋がっていきます。
「もりのなか」(マリーホール・エッツ)を読んだことがある子が、「わたしとあそんで」を読んで、「あっ、またエッツさんの本だ!」って気づくわけです。
子どもにとって、面白い本、大好きな本は、仲のいいお友達のようなものですよね。
そのお友達が、別のお友達を紹介してくれるような感じで、自分が次に読みたいと思う本を紹介してくれる。子どもの絵本への興味が広がっていきます。
また、絵本の最初から、絵本に集中していく力、物語の世界に入っていく力もついてくると思います。
それから、訳者名なんかにも注意が向くようになると、「この人、私と同じ名前だ」とか、「この絵本を書いた人の名前って面白~い」とか、なっていきます。例えば、「くつしたくん」の絵を描いている「100%ORANGE」さんって、変な名前だなぁ、面白いなぁ、とか。
特に、訳者さんに着目しはじめると、訳者さんたちは、色々な作者とコンビを組んでいますから、知っている訳者さんの本が、自分の知らない作者の「紹介」を沢山してくれると思います。
大人も、まったく同じなんです。
声に出して読むと、今まで気が付かなかったことに気が付くようになります。
私自身も、「あれ?がらがらどんの訳者のせたていじさんって、他の絵本でも見たな」なんて思って、子どもの本箱をひっくり返して、「あ、おおかみと七匹のこやぎと同じひとだ!」なんて発見をしました。それから、「おだんごぱん」も「三びきのこぶた」も、せたていじさんが訳してる!なんて発見をします。「この人、すごい!」って。
それが、「せたていじさんって、おおかみの話しを沢山訳してるな」とか、「ヤギも好きなのかな?」とか考え始めて、「どれもいい訳だよなぁ。他にどんな本を訳してるのかな」っていう風に、関心と興味が広がっていくと思います。
図書館に行ったり、本屋さんに行って、どの絵本がいいかな?と途方にくれるということが無くなってくると思いますよ。背表紙を見ているだけで、自分が知った名前が目に飛び込んでくるようになりますから。「あっ、あなた、ここにもいたんですか?」って感じで、親近感をもって、自分にとっての新しい絵本を手に取ることができるようになると思います。
作者名に興味を持つと、その興味はそのうちに、「絵本には、作った人というのがいるのだな」という理解に繋がっていきます。
その理解は、大人も子どもも、その人なりに、色々な事に興味を持っていくきっかけになっていくのではないでしょうか。
私、最近までは、出版社名を読むのは、面倒くさくて省略してきたのですが、これも、読んでみると、やはり認識が新たになる部分があります。
自分が知らない出版社が、絵本の世界では意外と幅を利かせてたりして、面白いですね。