瀬田貞二さんが、ロシア民話を絵本にしたものです。
瀬田貞二さんは、「かさじぞう」などの童話を絵本にしている一方、訳者として、様々な外国の絵本を、日本の世に送り出しています。「まいごのアンガス」「げんきなマドレーヌ」「三びきのこぶた」「三びきやぎのがらがらどん」「おなかのかわ」などの絵本がそうですね。それから、児童文学分野でも「指輪物語」「ナルニア国物語」などを世に送り出しています。
1979年に亡くなっていますが、子どもたちと私たちに、素晴らしい絵本を残してくださった方です。
「おだんごぱん」のお話し、何度読んでも、おだんごぱんくん、本当は可哀想なんですよ。ユーモラスな話しですが、よく考えると世の無常を感じます。ある意味で。ずるいよね、きつね。
この絵本の特徴は、おだんごぱんくんのお得意のセリフを、拍子をつけて読んでしまう、というか拍子をつけて、歌として読まずにはいられない、というところですね。
歌としての節は全然わからないんですが、いやおうなしに拍子をつけざるを得ないという、そういう文章になっています。この辺が、せたていじさんの文章構成の良さなんでしょう。
親が歌うように読むと、子どもも覚えてしまって、一緒に歌うようになります。うちの上の子も「ぼくはてんかのおだんごぱん」と喜んで歌っています。
ただし、問題なのは、親の歌の上手さによって、というか下手さが、子どもの歌のレベルを決めてしまうということです。なるほど、音痴はこうして再生産されるのかと、実感してしまいます。
おだんごぱんくんの顔、なんだか南しんぼうさんに似ています。
絵本の物語とは、まったく関係ないのですが、粉箱をこすって作ったおだんごぱんは、木屑が混じってないのだろうか。そのことがとても気になっています。本当においしいんでしょうかね、おだんごぱんくん。他人事ながら、きつね君、あとで吐き出してはいないだろうかと心配です。
あと、小麦粉も無いような家に、バターがたっぷりあったというのも気になる点です。もしかして、この家は貧乏だったのではなく、おばあさんが意地悪な人で、じいさんにパンを作ってやりたくなくて、わざと小麦粉の買い置きをしておかなかったのかもしれません。
そんなこんなで謎を秘めつつ、絵も素朴な感じで面白い絵本です。せたていじさんの絵本、見つけたら大抵は「買い」ですよ。