忙しさのあまり、絵本についてのカキコが久しぶりになってしまいました。
うちには「からすのパンやさん」のパズルもありまして、ちょっと前まで、上の子が楽しんでいました。今は、ちょっと簡単になりすぎちゃったみたいですね。あんまりやっていません。
この絵本の特徴は、、、。
お話しが長いこと(T_T)。とにかく、文章が長い。
寝る前に「好きな本、持ってきな」と言って、子どもが「からすのパンやさん」を持ってくると、それだけで日中の疲れが倍増、って感じです。
逆に言うと、それだけ「読み聞かせ応え」があるということです。それに、お話しとしてはとても面白いですよ。フォローになっているかな?
かこさとしさんは、「この絵本で『舞踊』のようなものを表現したかった」とおっしゃっています。つまりは、ミュージカル的な乗りの絵本にしたかった、ってことでしょうかね?
私はあんまり、そうは思えないのですが。。。
途中で、そういう場面、確かにあるんです。消防隊と救急車と武装警官の一個連隊の歌、ですね。あそこで拍子をつけて読む(歌う)のは実はちょっと辛い。ていうか、歌になっているのかなぁ、あの文章。
うちの上の子と楽しんでいますのは、色んなパンを焼き上げた場面の絵ですね。二人で、お互いに好きなパンを言い合って、それを食べる振りをする、相手のパンを奪い合う、というようなアホなことをしています。
それから更に圧巻(?)は、そのページの次の次の次のページ、「とってもすてきな かわったかたちの、たのしい おいしいパン」がどっさり乗っているページですね。
今、数えたら84個も画いてありましたよ。すごいですね。それも全部名前がついている。
それで、このページを使ってうちの子と遊ぶのは、「パンの当てっこ」です。
一人が目をつぶって、もう一人が84個の中から好きなパンを選んで食べさせて(振り)、パンの味だけで、食べたパンを当てるという、高度にグルメなすごい遊びです。
っていうか絵ですから、もちろん味なんかしません。当然、匂いもないし。食感もない。
って、そんなんで当たるわけねーだろーーーーーーー!って思いつつ、読むたびに毎回やってます。というより、この遊び考えたのとーちゃん(私)ですから。
もう、何百回もやってますが、お互いに1度も当たったことないですね。当然です。
ちなみに、下の子はこのページを見るたびに、「だるまパン」と「てんぐパン」の二つを指差して「じじ」と言います。それを聞くと、カミサンはコオロギのように笑い転げます。おいおい、あんたのお父さんのことだろうが。
そんなこんなわけで、「カラスのパンやさん」を読むには時間がかかります。つまりは、文章の長さが原因の4割、読む側の楽しみが原因で6割、というわけですね。
でも、この本、そうしないともったいないというか、本当の意味では楽しめないです。さらっと一通り読むのではなくて、絵本の世界に入り込んで、自分の裁量で遊べる絵本だと思います。
そういう意味では、同じかこさとしさんの「とこちゃんはどこ」と共通点があります。あの絵本も、子の絵本も、本筋とは関係なく楽しめる、というより、寄り道を楽しむために作られた絵本という気がします。
一番最初のページの絵と最後のページの絵とは、森を遠くから描いていて、カラスは小さなシルエットしか画かれていません。
他のページは、全て擬人化されたカラスが沢山画かれていますから、非常に対照的です。
かこさとしさんは、この二つのページを物語への入り口と出口、カラスの世界、つまりチョコちゃんたちが住んでいる世界への扉としているのだと思います。
私が好きなのは、一番最後のページの文章です。ちょっと長いですが、引用します。
「あなたが しらないもりの なかで、
どこからか こうばしい おいしいにおいが したら、
もりの うえのほうを みてごらんなさい。
もし かざぐるまが、
ちらちら まわっているのがみえたら、
そこが いずみがもりなのです。
もしかしたら、あなたは もりのなかで
チョコちゃんたちに あえるかもしれませんよ」
最後のページを見ながら、この一節を読むと、私も、本当にそんな気持ちになってきます。
そして、子どもと一緒に砧公園の林の中に入った時などに、木の上を見て、カラスの姿と風車を探してしまいます。
この世界には、きっとどこかに「いずみがもり」というカラスの街があって、そこではチョコちゃんたちが、毎日楽しく暮らしているはず。おとなでさえ、そんな気持ちになる絵本です。
ちょっと読むのに時間はかかるけど、好きな絵本です。