今、確かめたのですが、「ロンパーちゃんのふうせん」か「ロンパーちゃんとふうせん」かあやふやでした。微妙に意味が違ってきますよね。
さて、この絵本は、引越しの後に遊びに来た友人がプレゼントしてくれました。娘が1歳くらいのときかなぁ。
「酒井駒子」さん。初めて聞く作者名だったので、「うむむ」と思ったんですね、実は。そのとき思ったのは、「途中の本屋で、ひょいっ、と選んだんじゃねーだろうなぁ」と。絵も、可愛いんだけど、お話しに深みがあるのかな、、、と。
・・・。ありました。
この絵本、すごくいいです。
中表紙を兼ねた1ページ目の見開きから、すごくいいんですよ、本の「雰囲気」が。あんまりピーンと来ない絵本と1ページ目から「格」が違うといいますか、初めて読んだ時に、すごく感じました。
私が、この絵本の一番の特徴だと思うのは、ほとんどずっと「五七調」で文章が書いてあることなんですね。だから、するすると歌うように読めていってしまいます。
ロンパーちゃんやお母さんのセリフも五七調。
かといって、別に俳句チックとか歌舞伎チックなお話しではなく(どんな話しじゃ)、子どもの行動と心理を描いた優しいお話しです。
特に、風船が高いところに引っかかったあとの「五七調」は、もの悲しくもほほえましい。つまり、子ども本人にとっては、これまでの人生最大の試練というか悲しみで、親も十分に子どもの気持ちを理解しているんだけれど、やっぱり埋めきれない気持ちのギャップっていうんですかね、そういう感じがセリフのリズムで浮き上がってくる。
酒井駒子さんは、イラストレーター。他に「よるくま」とか「ぼく、おかあさんのこと・・・」などの著書があります。
絵のタッチが独特の繊細さをもっていて、とてもやわらかい。ボキャブラリの不足を敢えて隠さずに言えば、子どもを描く線のやわらかさに、岩崎ちひろのタッチを思い出させるような、そんな感じがします。
で、もらってから2年経ったある日。プレゼントしてくれた友人と酒を飲む機会があったので、実は、、、ともらった当初に考えたことを話しました。
そうしたら、やっぱり、我が家に来る途中で、何冊か手にとってパラパラと見て決めたということ(笑)。やっぱり。
しかしね、こう言うんです。
「そのときのこと覚えてるんだけど、この本は2~3ページ見て、これは!ってすごく思ったんだよ。良い絵本だなーと。あげた後、読み聞かせてる姿を見てたら、気に入ってくれたみたいで、良かったと思っていたよ」
そうなんだよな、あの本は最初の数ページで、とってもいい!というのがわかるんだよな!と、わりと盛り上がりました。
絵本の選び方って難しいです。
でも、、頭を空っぽにして、絵をパラパラしていると結構直感的に「わかる」もんなんですよね。この絵本を気に入ってから、けっこう、そういう探し方をするようになりました。えいやっ!と。
いや、その友人が頭空っぽっていうわけではなく(笑)、そういう野生の勘の鋭い、感性の豊かな人がくれたんだという、そういうお話です。あなたは偉い、ありがとう、といいたい。
って、上の2行を読み返すと、褒めてないかなぁ、やっぱ。(^^;)
子どもの時分のこだわりを微笑ましく思い起こさせる、そんな優しい気持ちになる絵本です。