NHK「クローズアップ現代」
8月23日(水)放送
相次ぐ民営化トラブル~揺れる保育現場~
を考える
その内容は…
・全国で保育園の民営化が一斉に進められている。
・行政や園側と保護者が対立、裁判にまで発展するケースも相次いでいる。保育の質の低下を理由に保護者が「民営化取消し」を求めた横浜市の場合では、「早急な民営化は違法」として、市に損害賠償を命じる地裁判決がだされた。
・地方自治体での財政難や公立保育園への補助金の一般財源化などから、経費削減のため民営化がとまりそうもない。
・問題が発生した地域では新しい方法論が模索されている。世田谷区では「意見交換会」を経て「最低2年間の準備期間を」など「民営化ガイドライン」をつくる取り組みがあった。
・今後も加速する民営化にどう向き合っていくのかが問われている。
というものでした。しかし…
保育園民営化の背景は?将来日本の保育はどうなる?
公立保育園の民営化が全国で一斉に進んでいるのは、番組のいう「財政難」や「国と自治体の関係(補助金の仕組み)の変化」も一因ですが、より根本的な背景は「官から民へ」といって公的福祉を全廃し、「企業の自由な営業」と「それを自己責任で買う消費者」という関係に変える小泉政権と財界の戦略があります。
財界は、保育改革の「提言」を出し、企業参加をすすめてきました。最近では7月31日、政府の規制改革・民間開放推進会議(議長・宮内義彦オリックス会長)が中間答申を決定し、保育について「民間企業の参入を促すこと」などを提言しました。(当ブログ既報)
現在「ピジョン」「ベネッセ」「ポピンズ」など大手企業が参入していますが、大田区や練馬区では、保育士が次々やめるなど大問題になっています。
しかし、放送では民営化の受け手が主に「企業」である一方で世田谷区のガイドラインが「当面企業は入れない」としている点、また「保護者と行政のトラブル」は取り上げても民営化によって実際に起こっている問題については触れないなど、事の本質を欠いているのではないでしょうか。
報道は「保育園民営化はとまりそうもない」としていますが、その行き着く先として、日本の保育はどうなっていくのか、行政はアクセス保障のみで営利保育が大勢の社会でいいのかなどを「クローズアップ」していただきたいものです。
参考:区立保育園民営化ガイドラインについて(世田谷区HP)
http://www.city.setagaya.tokyo.jp/030/d00005906.html
(若)