日本の絵本と外国の絵本、交互に語っていこうと思っていたのですが、外国語の絵本はそろそろネタ切れになりつつあります。定番ものは、語り尽くされてる気がするしなぁ。
「ラチとらいおん」は、最近、読み始めた絵本。福音館の「世界傑作絵本シリーズ」のハンガリーの絵本ってことですから、マーク・ベロニカさんは、ハンガリーの方なのでしょうか?ゴメンナサイ、何も知らないで。
絵の特徴は、針金のような線と、背景がほとんど画かれないシンプルな画風。それから、子ども達の体の形が、かなり誇張されているのに、動きのある絵は妙に説得力があるというか、リアルという感じを受けます。
この本、つれあいが好きなのようで、トイレに「ラチとらいおん」の絵を絵葉書にしたようなカレンダーが、パウチッコ(って今もあるんですかね?)みたいにされて、6月分くらいまで飾られていいます。毎日、絵を見ていても、一見では、針金のようにシンプルに見える線なのに、飽きが来ないので不思議です。
お話しは、男の子の成長の物語。上の子が、ちょうど、ラチと同じような「試練」に遭遇しているので、読み聞かせていると、実感として共感している様子なのが面白い。
今、トイレに一人で行ったり、暗い部屋に一人で入って電灯を点ける、なんていうことにチャレンジしてまして、「人生でクリアしていくべき日常的課題」みたいなものに、勇気を出して挑戦している姿を見ると、我が子ながら感動します。
ライオンの存在が、まるで「魔法の煙」のように消えてしまうのが、物語として、とてもいいと思います。(ところで「魔法の煙」って玩具、まだ駄菓子屋にあるんですかね?)
人は大人になっても、自分を勇気付けてくれる存在、見守っていてくれる存在が、必要なんじゃないですかね。このらいおん君のように、右後ろのポケットにいて、いざとなったら頼れるって思える存在が。
強く強く見える人ほど、本当は、らいおん君のような存在に支えられているかもしれない。
生きていくうちに、そういう存在って、段々少なくなっていきますよね。仕事も先輩に頼る立場から頼られる立場になっていくし、忙しくて友人とは中々会えなくなってくるし、親はそのうち死んじゃうだろうし。
「ラチとらいおん」の物語は、自分を導く存在との出会いと喪失という、人生の一大テーマ、的なものを描いているといっても過言ではないのではないのだろうかっ!ドンッ!!。
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すいません。ちょっと大げさに書き過ぎました。「人は大人になっても、」以下は、7割くらい割り引いて受け止めてください。
それから、個人の趣向的には残念な点が一つだけ。
最初と最後のほうに出てくるヘリコプターの翼の角度だけは、力学的にみて無理があると思うので、やめてもらいたかったなぁ。
話しの展開的に、この翼の角度に、憧れの象徴的な意味があることはわかりつつ、読むたびに、違和感を感じてしまうんだよなぁ。
私は、らいおん君が登場してきたノベっとしている絵と、最後の「おしまい」というらいおん君の絵が、可愛くて好きです。
生意気になってきた3歳児くらいの子と一緒に楽しみたい絵本ですね。