今回は、思い切って個人の趣味的に走りまして、クリス・ヴァン・オールズバーグ著作でまいります。といっても、これまでも全て個人の趣味です。ごめんなさい。
この絵本、昨年のクリスマス前に結構話題になったことで存在を知った方も多いと思います。いわゆる「大人向け」の絵本ですね。
アメリカでアニメ化されて、トムハンクスが一人4役かなんかで、アフレコに挑戦した事でも話題になったし、村上春樹氏の訳だということでも注目されたようで、クリスマス前には、多くの本屋で平積みになっていたようです。
確かに、お話しとしては長いし、単語の難しさもあります。また、名訳だとは思うのですが、村上春樹氏の特有の言い回し的な文章も、子ども達には、とっつき辛いかもしれません。
でも、うちの上の子は2歳10ヶ月、下の子も1歳半から読み聞かせていますし、物語の面白さとしては、十分に小さい子も惹きつけます。
まだ子どもが小さくても、途中で飽きた時には途中で読み終えるつもりで、親も楽しみながら読み聞かせるのもいいのではないでしょうか。
オールズバーグは、「色彩の魔術師」なんて言われています。申し訳ないけれど、この絵本のそれぞれの絵の良さは、とても言葉には出来ないし、下手に言葉にしたくないです。
とくに、冒頭、雪の中で汽車が停車している見開きの絵は、とてもいいです。うちの下の子も、この絵が大好きで、ずーっと眺めていました。ええ、ちょっと鉄っちゃんが入ってる子でして。まだ2歳ながら、血に流れる「鉄分」が濃いようです。
閑話休題。
それから、汽車が北極点に向かって疾走する場面、この何点かの絵もいいですよ。
「急行北極号」に乗ってみたいなぁ、北極点の街に行ってみたいなぁと思いますね。北極点は、世界のてっぺんにある、とても大きな街なのです。
主人公の僕は、トナカイの首に付けられていた鈴を、「今年最初のクリスマスプレゼント」として、サンタにもらいます、。その鈴の音は「心から信じていれば、その音はちゃんときこえるんだよ。」という、最後の一節がとても心に響きます。
その鈴は、最後のページに描かれています。他のページは横見開きの大判の絵なのに、このページだけ、中央に小窓のように開かれた小さな絵です。
「心から信じていれば、その音はちゃんときこえるんだよ。」という言葉と相まって、とても余韻を感じる終わり方ですね。
汽車に乗ってすぐに出されてくる、「チョコレート・バーを溶かしたみたいに、とろりと濃くて香ばしいココア」も、飲んでみたいなぁ。
甘いお菓子や甘い飲みものを、世の中で一番美味しいものだと信じて疑わない小さい子どもだった日々に、ちょっと帰りたくなってしまう、そんな気がする絵本ですね。